株価が上がる仕組み。きちんと説明できますか?
Q:株価はどのような時に上がるでしょうか?
- 利益が増えたとき
- 配当が増えたとき
- 株主優待が導入されたとき
- ポジティブなIR(有力企業との提携など)が発表されたとき
いずれも間違いではありませんが、答えとしては△です。
上の問いに正しく答えるためには、まずは株価がどう決まるかを理解する必要があります。
株価は需要と供給のバランスで決まる
株価は需要と供給のバランスで決まります。
他のモノやサービスと同じです。
「需要と供給」と聞くと、子どもの頃に授業で習ったこの図を思い出す人が多いのではないでしょうか?
この図だけで需要と供給の関係をしっかりと理解できる人は問題ないのですが、いまいちしっくり来ないという人は以下の図を見てください。
まず①の図を見てください。
この図は株の注文量を横軸、株の価格を縦軸としています。
上の青い三角形は売り注文です。(=供給)
売りたい人はできるだけ高く売りたいわけですから、株価が高い位置では注文の量が多く、低い位置では量が少なくなります。
下の赤い三角形は買い注文です。(=需要)
売り注文とは逆で、買いたい人はできるだけ安く買いたいので、株価が低い位置では注文の量が多く、高い位置では量が少なくなります。
①の図では売りたい人と買いたい人の価格が一致しないため、売買が成立しません。
このような売買が成立しないということは、株価が決まらないということです。
②の図はどうでしょうか。
こちらは売りと買いの三角形が重なっています。
重なった部分は売りたい人の価格と買いたい人の価格が一致しているということです。
ですので、この部分の注文者間では売買が成立し、株価が決まるというわけです。
株価が上がる仕組み
上で株価が決まる仕組みを理解できたら、次は株価が上がる仕組みを理解しましょう。
下の図を見てください。
③は高値が売買が成立する時、つまり株価が上がる時を表しています。
④は安値で売買が成立する時、つまり株価が下がる時を表しています。
2つの違いは何でしょうか?
三角形の大きさ(注文の量)は同じですが、位置が違いますね。
③は価格が高い位置で三角形が重なっています。
これは「高くても買いたい」という人が増えて、赤い三角形(買い注文)が上に動いたということです。
それに応じて売りたい人も「もっと高くで売れそうだ」と考えて、青い三角形(売り注文)も上に動いています。
このような状況では株価が上がります。
④は価格が低い位置で三角形が重なっています。
③とは逆に「安く買いたい(=高く買うほど魅力がない)」という人が増えて、赤い三角形が(買い注文)が下に動いたということです。
それに応じて売りたい人も「安くしないと売れない」と考えて、青い三角形(売り注文)も下に動いています。
このような状況では株価が下がります。
さて、最初の質問に戻りましょう。
Q:株価はどのような時に上がるでしょうか?
ここまで読めばわかりますね。
正しい回答は「(高くても買いたいが増えて)買い注文が上に動くとき」です。
当たり前過ぎると思う人もいるかもしれませんが、これをきちんと理解できているかどうかで決算の見方も変わってきます。
利益が増えたときや配当が増えたときは、一見株価が上がりそうです。
しかし、投資家やアナリスト達が期待していたほど利益や配当が増えていなければ「期待外れだな・・・」と受け取られたり、例えばライバル会社の方が利益を増やしていれば「あっちの会社の方が魅力的」と思われて、買い注文が上に動かない時が往々にしてあります。
逆に株価が下がる時もめずらしくはありません。
ですので、決算書やIRを見てポジティブな材料だと思っても、その結果で「買い注文が本当に上に動くのか?」という視点で常に考える必要があります。
その際は「投資家の期待に対して上か下か」や「他の会社と比べてどうか」あるいは「この会社の過去と比べてどうか」など、多様な視点で考えるようにしましょう。